倉庫で保管できる危険物の指定数量とは?
2020.02.12
火災や爆発、中毒事故の原因となる物質は危険物に指定されています。
消防法においても保管方法を定めており、倉庫で大量保管する場合は設備を整えて許可を得なければなりません。
その基準となる指定数量や、少量危険物について解説します。
【危険物倉庫で保管可能な指定数量とは】
危険物はその品目ごとに指定数量が決められています。
火災や爆発のリスクが高い(危険等級の高い)品目ほど、保管できる数量は少ない傾向にあります。
引火性液体では、植物油類(危険等級Ⅲ)が10,000Lです。
しかし発火点100℃もしくは引火点が-20℃以下・沸点が40℃の特殊引火物(危険等級Ⅰ)では、50Lまでとなっています。このように同じ性質の物質でも、保管可能な数量は大きく異なるので注意してください。
また保管方法についても、個別の対応が必要です。
たとえば化学反応を起こしやすいほかの物質と接触させない、衝撃や摩擦を防ぐ目的で混載を避けなければいけないものがあります。
自然発火性のあるものは、火気・空気を避けたり保護液中で保管したりすることを求められます。
そのため危険物倉庫においては、品目ごとに適切な貯蔵ができる設備を整えましょう。
<指定数量の計算方法>
指定数量を超える危険物の取り扱いは、消防法で規制を受けます。
品目ごとの数量は、以下の式で危険数量の倍率を求めます。
貯蔵量 ÷ 指定数量 = 指定数量の倍率
複数の品目を扱う場合は、それぞれの計算結果を合計した数を倍率とします。
この倍率が1を超えると消防法の適用対象です。
【少量危険物は通常倉庫でも保管できる】
倍率が少量(0.2以上1未満)のときは少量危険物となるため、各自治体の条例に従います。
ガソリンなら40L以上200L未満が該当します。
1倍率以上を貯蔵するよりも規制がゆるやかなので、通常の倉庫でも保管可能です。
少量は無資格でも取り扱い可能ですが、最寄りの消防署に届出した上で適切に管理しましょう。
たとえば消毒用アルコール、パーツクリーナのスプレー缶、接着剤の中には消防法上の危険物に該当する製品があります。そのため卸問屋の倉庫として運用するようなケースにおいても、品目ごとの取り扱いについて要確認です。
<少量貯蔵の注意点>
同一敷地内に複数の倉庫がある場合、ひとつの建物では少量貯蔵でも全棟を合計すると指定数量を上回るときは注意が必要です。
保管場所が別々でも同一敷地内にあるケースでは、危険物倉庫として届出を求められることがあります。
危険物はわずかな量でも大事故に繋がるリスクがあるため、それぞれの自治体の取り決めに従ってください。
【まとめ】
倉庫で危険物を貯蔵するときは、品目ごとの数量と全体の総数を常に把握するようにしましょう。
通常倉庫で保管できる少量であっても、取り扱いには十分注意してください。