倉庫・工場の課題 物流とモーダルシフトのポイント
2020.02.20
モーダルシフトとは、国土交通省が推進している取り組みのひとつで、CO2排出量削減の鍵とも言われています。
今回は、倉庫や工場への物流とモーダルシフトとの関係、狙いやポイントについて、簡単にご説明していきます。
【倉庫・工場が物流において考えるべきポイント:モーダルシフトとは】
そもそもモーダルシフトとは、モーダル(modal)をシフト(shift)することであり、「様式の変換」と直訳できます。
ここで言う様式とは、貨物や人の輸送手段に該当します。
つまり、現在おこなわれている貨物の物流や人の輸送手段を、変えていこうという取り組みです。
具体的には、倉庫や工場から店舗までの物流において、従来は大型トラックなどで運んでいたものを、各拠点を経由する方式に変換させ、電車や船舶を利用しようとするものです。
これにより、トラックの使用は縮小されます。
この考え方は40年近くも前、1980年代にはすでに存在し、当時の運輸省による取り組みが1991年から始まりました。
1997年9月には、2010年までに500km以上の長距離雑貨輸送における鉄道・船舶の比率を50%まで引き上げるという方針を決定していましたが、1998年度の約43%をピークに徐々に低下していき、2006年度以降は数値すら非公表です。
しかし、その必要性は変わることなく、2016年2月には「改正物流総合効率化法案」が閣議決定され、国土交通省は2020年度までに、34憶トンキロ分の貨物をモーダルシフトする目標をたてています。
【倉庫・工場が物流において考えるべきポイント:モーダルシフトの狙い】
では、このモーダルシフトにはどのような狙いやポイントがあるのでしょうか。
モーダルシフトの主なメリットは、CO2排出量の削減です。
トラック輸送のCO2排出量に比べ、鉄道輸送や船舶輸送のCO2排出量は20%程度と少なく、倉庫や工場から店舗に向かう途中の区間を鉄道や船舶に転換するだけで、大幅なCO2排出量の削減となるのです。
また、輸送トラックが減ることにより、道路環境が改善されるという狙いもあります。
交通事故や渋滞、騒音、道路の老朽化といった問題も減少することになるでしょう。
さらに、日本全体で深刻になっている人手不足への一助となることも期待されています。
鉄道輸送や船舶輸送はトラック輸送に比べて大量の荷物を扱えるため、総貨物輸送量の9割以上を占めると言われているトラック輸送の業務を分散し、必要な労働力を減らすことにもなるのです。
【まとめ】
モーダルシフトとは、工場や倉庫から店舗へのトラック輸送を他の物流方法へ変換する取り組みです。
国土交通省が推奨する取り組みでもありますので、今後ともその動きには注目してゆきましょう。